フットケア
フットケア
フットケアとは、足の健康を守るために行うケアの総称です。潰瘍などトラブルのある足に対する医療的ケアだけでなく、トラブルを未然に防ぐための予防的ケアも含まれます。
特に糖尿病などの生活習慣病がある方や高齢の方は、足のトラブルが悪化・重症化しやすく、最悪の場合は生命の危険につながることもあります。
フットケアは単なる爪切りや皮膚のケアだけではありません。足の洗い方、靴の選び方や歩き方、足の状態に合わせた運動療法なども含まれます。
フットケアを継続することは、足の健康を守るだけでなく、からだ全体の健康維持にもつながります。
糖尿病足病変は、糖尿病の三大合併症である神経障害と、糖尿病により進行しやすい動脈硬化が主な原因です。
神経障害はHbA1cが高い状態が長く続くほど発症リスクが高まり、早い方では発症から5年程度でみられるとも言われています。また、糖尿病発症前の耐糖能異常の段階から、神経障害や動脈硬化は少しずつ進行します。
神経障害の代表的な症状は足のしびれや違和感ですが、自覚症状がなく進行している方も少なくありません。
そのため、症状の有無や罹病期間に関わらず、年1回の足の検査をおすすめします。
傷、乾燥、胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ)、変形の有無、足の温度・色調、爪の状態、浮腫、関節の可動域などを確認します。
打腱器でアキレス腱を軽くたたき反射の有無や程度を確認します。
音叉(C128)を内くるぶしに当て、振動を感じなくなるまでの時間を測定します。
モノフィラメントなどを用いて、足裏の圧触覚や痛覚を評価します。
両腕・両足の血圧を測定し、血管の硬さや狭窄・閉塞の有無を評価します。
これらはクリニックで実施可能な検査です。必要に応じて、より詳細な検査や治療ができる医療機関とも連携しています。
神経障害があると発汗が低下し、皮膚の乾燥が進行します。
また、高血糖による口渇・多尿がある場合は脱水傾向となり、さらに乾燥が進みます。
SGLT2阻害薬を内服している方も脱水しやすく、乾燥に注意が必要です。
特定部位に繰り返し圧力や摩擦が加わると発生します。肥満があると足にかかる負荷が増え、胼胝・鶏眼ができやすくなります。
放置すると皮膚が傷つき潰瘍の原因になり、神経障害のある方は痛みに気づきにくいため特に注意が必要です。
足に合わない靴や深爪が原因で生じます。肥満があると足先への圧力が増え、爪の変形が強くなることもあります。
巻き爪が悪化し皮膚に食い込むと陥入爪となり炎症・感染の原因となります。
白癬菌という真菌(カビ)の感染で起こります。皮膚だけでなく爪にも感染し、長期間放置すると爪白癬へ進行します。
糖尿病や肥満がある方は感染率が2〜3倍高いとされており、注意が必要です。
外反母趾、内反小趾、ハイアーチ、ハンマー趾などがみられます。
神経障害による内在筋の萎縮が原因となることがあり、変形による胼胝・靴擦れ・転倒リスクの増加につながります。
糖尿病のある方で上記のような変化がある場合は、早めの検査とケアをおすすめします。
足のしびれで糖尿病が見つかる、足の冷えや歩行時のふくらはぎ痛で動脈硬化が見つかることもあります。
早期に相談することで重症化を防ぐことができます。
予防の第一歩は、日々のセルフケアです。できる範囲から始めてみましょう。
当院では、糖尿病で治療中の方には定期的な足の検査をおすすめしています。
不安なことがあればお気軽にご相談ください。
当院にはフットケアの知識を持つ糖尿病療養指導士が在籍しており、個々に合わせたケア方法や運動療法の提案が可能です。