
脂肪性肝疾患(脂肪肝)
脂肪性肝疾患(脂肪肝)
脂肪性肝疾患とは、肝臓に中性脂肪が過剰にたまった状態を指します。いわゆる「脂肪肝」と呼ばれるもので、健康診断などで肝機能異常を指摘される原因の一つです。
近年、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病を背景に発症する脂肪肝が増えており、お酒をあまり飲まない方でも発症するケースが多くなっています。
こうした状況を受け、2024年8月には日本肝臓学会・日本消化器病学会より、脂肪肝に関する新たな病名と分類が正式に発表されました。現在では、脂肪肝は「脂肪性肝疾患(SLD:Steatotic Liver Disease)」という枠組みでとらえられ、病因や進行度に応じて分類されています。
SLD(脂肪性肝疾患)は、病因を問わず、肝臓に脂肪がたまった状態全体を指します。
このSLDの中で、過剰な飲酒がなく、代謝異常を背景に脂肪が蓄積している状態はMASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)と呼ばれます(従来のNAFLDに相当)。
さらに、MASLDに炎症や肝細胞の障害、線維化が加わった状態はMASH(代謝異常関連脂肪性肝炎)と呼ばれます(従来のNASHに相当)。
MASLDは、SLDのうち、以下のような代謝異常のいずれか1つ以上に該当する場合に診断されます:
体型にかかわらず、代謝の乱れがある方はMASLDの可能性があります。
MASLDが進行し、肝臓に慢性的な炎症や線維化が加わった状態がMASHです。
放置すると、肝硬変や肝細胞がんに進展する可能性があるため、早期の診断と対応が重要です。
MASLDやMASHは、初期にはほとんど自覚症状がありません。
しかし、進行すると以下のような症状が現れることがあります:
このような症状がある場合は、病状がかなり進行している可能性があるため、健康診断で肝機能異常を指摘された段階での受診が大切です。
当院では、以下の検査を用いて脂肪性肝疾患の評価を行っています:
肝酵素(AST・ALT・γ-GTP)や脂質、血糖等の状態を確認
肝臓の脂肪蓄積の有無や程度を画像で評価
必要に応じて、病状に応じた医療機関への紹介も行っております。
MASLDの治療では、まず生活習慣の見直しが基本となります。
MASLDやMASHに関連する糖尿病・高血圧・脂質異常症などの合併症がある場合は、それぞれの病態に応じた薬物治療を組み合わせ、総合的に管理していきます。
千歳烏山駅前内科・糖尿病クリニックでは、糖尿病専門医が、脂肪性肝疾患を含む生活習慣病に対し、検査・診断から食事・運動指導、薬物治療まで総合的に対応しております。
以下のような方は、ぜひお気軽にご相談ください:
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状に乏しい臓器です。だからこそ、気づいたときにしっかりと対処することが、将来の健康を守る第一歩です。