妊娠糖尿病|千歳烏山駅前内科・糖尿病クリニック|千歳烏山駅前の内科・糖尿病内科・内分泌内科

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妊娠糖尿病

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妊娠糖尿病とは?

妊娠糖尿病(Gestational Diabetes Mellitus, GDM)とは、妊娠中に初めて発見される耐糖能異常(血糖値の異常)のことを指します。妊娠前から糖尿病を患っている場合は「妊娠前糖尿病」と区別されます。妊娠中のホルモン変化や代謝の変化が原因で血糖値が上昇しやすくなることが主な要因です。
日本産科婦人科学会の診断基準では、妊娠中の75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において、以下のいずれかに該当する場合に妊娠糖尿病と診断されます。

  • 空腹時血糖値:92 mg/dL以上
  • 1時間値:180 mg/dL以上
  • 2時間値:153 mg/dL以上

この基準を満たす妊婦の割合は年々増加しています。

妊娠糖尿病のリスク因子

妊娠糖尿病を発症しやすいリスク因子には以下のようなものがあります。

肥満(BMI 25以上)

過剰な体重増加や肥満はインスリン抵抗性を高め、血糖値が上昇しやすくなります。

35歳以上での妊娠

インスリンの働きが低下しやすくなります。

家族歴

親や兄弟姉妹に糖尿病の方がいる場合、遺伝的な影響でリスクが高まります。

妊娠糖尿病の既往

過去の妊娠でGDMを経験した場合、再発リスクが高くなります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

ホルモンバランスの異常によりインスリン抵抗性が強くなり、血糖値が上昇しやすくなります。

妊娠糖尿病の影響

妊娠糖尿病は母体および胎児の健康にさまざまな影響を及ぼします。

母体への影響

妊娠高血圧症候群

高血糖状態が続くと血圧が上昇しやすくなり、母体の健康に悪影響を及ぼします。

分娩時の合併症

巨大児の出産により、帝王切開率が上昇したり、分娩時の外傷が増加する可能性があります。

2型糖尿病の発症リスク増加

妊娠糖尿病を経験した女性は、出産後に2型糖尿病を発症するリスクが高くなります。

胎児への影響

巨大児(出生体重4,000g以上)

高血糖が続くことで胎児が過剰に成長し、出生時の合併症リスクが増します。

低血糖

出生直後に母体の高血糖に適応していた胎児の膵臓がインスリンを過剰に分泌し、新生児低血糖を引き起こす可能性があります。

呼吸窮迫症候群

肺の成熟が遅れることで、生まれた後に呼吸が困難になるリスクが高まります。

将来のメタボリック
シンドロームリスク増加

母体の糖代謝異常は胎児の代謝にも影響を及ぼし、将来的に肥満や糖尿病のリスクが高まる可能性があります。

妊娠糖尿病の治療と管理

妊娠糖尿病と診断された場合、血糖管理が重要になります。主な治療法は以下の通りです。

1. 食事療法

食事療法が治療の基本となります。バランスの取れた食事を心がけ、急激な血糖上昇を防ぐことが大切です。

適正なエネルギー摂取

妊娠前の体重や活動量に応じたカロリー管理を行います。

低GI食品の活用

血糖値を急激に上げにくい食品(玄米、全粒粉製品、野菜など)を選ぶ。

規則正しい食事

1日3回の食事を均等に摂ることで血糖値の安定を図ります。

2. 運動療法

適度な運動は血糖値を下げる効果が期待できます。ただし、妊娠中の方は必ず医師の許可を得て、無理のない範囲で行うことが大切です。

運動のポイント

ウォーキングやマタニティヨガなど、軽めの運動を継続する。

体調を優先

少しでも体調が悪いと感じたら、すぐに中止する。

脱水予防

運動時はこまめに水分補給を行う。

3. 薬物療法

食事療法や運動療法で血糖値が改善しない場合、インスリン療法が行われます。妊娠中の経口血糖降下薬の安全性は確立されていないため、インスリンが第一選択となります。

出産後の管理

妊娠糖尿病の多くは出産後に血糖値が正常に戻りますが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高いため、定期的な健康診断が推奨されます。

出産後6~12週間でのOGTT

糖代謝の状態を確認するため、75gOGTTを実施する。

定期的な健康診断

血糖値のチェックを継続し、生活習慣病の予防に努める。

適切な体重管理と生活習慣の見直し

食生活の改善と運動習慣を維持することで、将来の健康リスクを軽減できる。

まとめ

妊娠糖尿病は母体と胎児の健康に大きな影響を及ぼしますが、適切な食事療法や運動療法を行うことで多くの場合は良好に管理できます。また、出産後も血糖管理を意識することで、将来的な健康リスクを低減できます。妊娠糖尿病と診断された場合は、医師と相談しながら適切な対策を講じることが大切です。